フォアキャスト(forecast)とは、一般的には予測・予想などという意味ですが、経営の世界では、経営計画などを立案する時に、「過去のデータを基にして未来を描く」という方法のことを言います。例えば、今後5年間の中期経営計画を立てようという時、過去の経営成績の状況を見て、この調子ならこれからの5年間は大方この程度の伸びは実現できるだろうと、目標を掲げることです。
一方、ここで取り上げたバックキャスト(backcast)とは、先に将来のある時点における具体的な目標を設定してから、その目標を実現させるために、手前に戻ってくるという計画を立てることを言います。例えば、今後5年間の中期経営計画を立てようという時、まず5年後のあるべき数字を決定し、それを実現させるために4年後、3年後、2年後、そして1年後のそれぞれの達成すべき数字を弾き出すことです。つまり、「未来を決めて、現在にバックする」ということなのです。
どちらが良いとか悪いとか言うことではありませんが、「私は、こうなりたい!」というビジョンが明確に描かれている場合は、バックキャストの方が適していると言えるでしょう。そういう意味で、バックキャストは「夢を実現させるための工程表」ということができるかもしれません。
私も、このコンサルタントの仕事を始める時には、バックキャストで計画を立案しました。5年間を一つのタームとして、第1次5カ年計画、第2次5カ年計画、第3次5カ年計画を策定しました。そして、それぞれの最終年度に実現すべき姿を描きました。第1次5カ年計画の目標は、具体的に「年収◯◯円獲得!」とし、第2次の時は「MBAの取得」、第3次は「中小企業診断士としての新分野の開拓」を掲げました。
1次も2次も目標を達成できました。そして、いま第3次5カ年計画の最終年度を経過中ですが、今次も達成できそうです。掲げた目標は、潜在意識に刷り込まれているのでしょう、陰に陽に自分を刺激し達成を促します。筆者はこの経験を基に、企業の経営者にも「バックキャストによる経営計画」の作成をお勧めしています。
そのためには、しっかりとした経営ビジョンの形成が必要であることは言うまでもありません。