目的と目標をはっきりさせると、自然に体が動き出す。
(目的と目標の違いがわかりますか?)
講演の中で、私は時々受講者に「目的と目標の違いはなんですか?」と問い掛けます。そして一番前に座っている人にマイクを向けます。いきなりマイクを向けられて緊張し、私の顔を見つめるだけなので、隣の人に同じ質問をします。「うーん」と唸るだけで、やはり答えが出てきません。三人目も四人目もその違いをはっきり答えることができません。そうなのです、「目的」と「目標」は判っているはずなのに、その意味や違いをきちんと答えることのできない言葉と言えます。
私は、「目的は進むべき方向、目標は時期と金額(数字)で表せるもの。」と答えます。目的地とは言っても目標地とは言わない。また目標値とは言っても目的値とは言わない。」と説明します。その上で、この「目的」と「目標」を明確にさせることは、個人が生きていく上でも、企業が事業を推進していく上においても、非常に大事なことであることを強調します。
創業したばかりの青年に「どんな会社にしたいですか?」と尋ねると、「でっかく儲ける会社にしたいですね!」と明るい声が返ってきました。そこで「いつ頃までに、どの程度の利益を出したいですか?」と尋ねたら、「そりゃーできるだけ早く、できるだけ大きくですよ!」という返事でした。読者はお分かりと思いますが、これは目的も目標もないのと同じです。これではいつまでたってもこの青年の思いは達せられないことでしょう。
社会に対してどのような役割を果たし貢献するのか。そしてその結果、いつ迄にいくらの利益を、社会からの報酬として獲得するのか、ということを明確にした企業ほど強いものはありません。経営者が目的と目標を明確にし、それを実現させるために事業計画をしっかりと練り上げれば、それに向かって自然に体が動き始めるのです。